書籍紹介「日本的経営の興亡」:その1


日本的経営の興亡(TQCはわれわれに何をもたらしたか)」(徳丸壮也著,ダイヤモンド社発行)って書籍,知っていますか?日本のTQC/TQM学者によってTQC/TQMの光の部分が強調されてきた一方,実は影の部分があるんじゃ,というのがこの書籍の愉快なところです.この書籍,2001年度の卒研生と飲んでいて,TQCコンサルやデミング賞の話題で私が裏舞台を暴露している熱弁の最中に,「こんな本があるんですよ」って,教えて貰ったもんなんです.学生も,よ〜勉強しとんな〜と,瞬間風速で思いました.

この書籍のページ70によれば,

『TQCの学会誌である「品質」誌の83年4月号に「デミング賞受賞企業にみるTQC活動とその経済的効果」と題する研究資料が掲載されていた.筆者は狩野紀昭(東京理科大学)ら3名の共同で・・・.(中略)その研究方法となると,デミング賞委員会編の「デミング賞受賞報告講演要旨」と三菱総合研究所発行の「企業経営の分析」というたった二つの資料を参考にしたにすぎず,企業を調査したものではない.したがって,研究というには信頼性に欠けるものである.(中略)そんなお粗末な我田引水にすぎないと思われる研究であるが,デミング賞の業績効果についてはこの資料しか見当たらないので,しかたなく,その研究の要点を紹介しておこう.』

そして,ページ71以降へと読み進むと,

『収益性,生産性,成長性,安全性,流動性の5つの角度から,デミング賞受賞前・時・後の企業の変化がレーダーチャートに表され,その図形によって,デミング賞企業が,次のような4つのパターンに分類されている.』

そして,さらに読み進むと,

『デミング賞の業績効果を証明するものとしては狩野紀昭らの「デミング賞受賞企業にみるTQC活動とその経済的効果」はあまりにも大きな欠陥がある.この研究は対象が1961年から80年の間の受賞企業から選ばれている.デミング賞の創設は51年であるのに,その第1回からの10年分は除外されているのである.なぜ対象企業が61年以降とされたのか.その事情に,デミング賞自体の大きな欠陥が隠されていた.(中略)60年のデミング賞実施賞は,・・・・倉毛紡績の3社であった.(中略)倉毛紡績は,・・・・倒産で消滅してしまったのである.デミング賞受賞企業のなかには受賞後に倒産してしまった会社もあったとは,業績効果を論じるどころの話ではなかろう.もし狩野紀昭らの研究が61年以前の受賞企業も対象にしていたら,こういう最悪のケースもパターンに含めなければならなかった.だから,それを避けるために61年以降からを対象にせざるをえなかったのであろう.』

以上,引用おしまい.

イヤハヤ,お気の毒に...

それにしても徳丸壮也さん,鋭いものがある...

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