白馬雪渓の負傷者救助:なんでそこまでつきあうの?(大森のタイトル)

白馬雪渓の負傷者救助:こんな救助は,されたくない(田中のタイトル)


これは,私と田中さん(鈴鹿国際大学短期大学部の田中先生)が白馬雪渓登山をしたときに遭遇した負傷者救助のお話です.

<出会い>

雪渓は、子どもでも行けるところだと田中さんにだまされて、ヒーヒー言いながら白馬雪渓に行きました.それでも、なんとか雪渓に到着.さすがは、大雪渓!!下界はまだ夏なのに涼しいどころか、ヒャー,寒い!!

ココで弁当食って,記念写真を撮って,しばしの休憩.いやー,来てよかったです.おっと,ガスが出てきたので,早く下山しなくちゃ.登りと違い,雪渓を拝むことができたので,足取りも軽く下山をはじめました.

二人で下山途中,石ころだらけの道からやっと,でこぼこの自動車道に出てしばらく歩いていると・・・登山用杖をついたちょっと年配の男性が我々に声をかけてきた.

ちょっと年配の男性:「俺の脚でねぇ。このペースなら,駐車場までどれくらいかかるかぁ?」

田中先生:「そうですね.2時間くらいですかねぇ。」

ちょっと年配の男性:「タクシー呼べないかな?」

田中先生:「いや〜、来てくれないでしょう.こんなでこぼこ道じゃ,普通の車じゃ入れませんよ。」

年配の男性,しかたなく杖をつきつきトコトコと.我々は少しの間立ち止まって喉の渇きを潤しながら,男性の歩く姿を見ておりました.どうも歩きがおかしいのです.

田中先生:心のセリフ(身体障害者の方が,雪渓に来るなんてすごいファイトだな〜.でも,どうして,サポーターが付いていないのかなぁ〜.)

私:「田中さん,どうしたのか聞いてみようよ。」(これが,今回の救出劇のトリガー)

田中先生:「どーかされたんですか?」

ちょっと年配の男性:「(くるぶしあたりを)骨折したんだ.足が,あさっての方を向いたけど,自分で直したんだよ。」

骨折だったのか,脱臼だったのか,今となっては定かではありませんが,これが負傷者救助活動とそれへのお付き合いの始まりの序章とは,二人とも予想だにしておりませんでした.

<救助劇が始まる>

骨折と聞いて,

田中先生:「それじゃ,この辺りに座ってて下さい.急いで駐車場にいって,車とってきますから...」

とにかく,格段のスピードで駐車場まで下山しました.おかげで,こちらの膝はガクガクです.ところが,ものごと格好良くは終わらせてくれないものです.我々が急いで歩いた道は,許可ある車しか通行できない車道だったのです.ちゃーんと,クサリと丈夫そうな南京錠が入り口をしっかりと閉鎖してました.

<救急車よ,お願いだ>

私:「じゃ,売店から救急車を呼んでもらおう」

急いで売店(下山時に牛乳を飲む予定だった場所)へ.

私:「あの〜,登山客が骨折して動けないので,救急車呼んでもらえますか...」

売店のおばさん:「えっ,そりゃたいへん。救急車って,何番だっけ?」

とりあえず,119番へ電話.119番,例の男性の居場所,特徴,いろいろと聞くもんだ.その上,「救助方法は、我々に任してほしい。」ときたもんだ.

えっ,変なこと,言うなぁ.ガレ場ならともかく,四駆なら行けるところだゾ??なんでか知らんが,おばちゃん,コーヒーを飲ませてくれた.もちろん,無料.負傷者通報のご褒美として,ありがたくいただきました.ご馳走さんでした.予定の牛乳は,もちろん,ちゃんと金払って飲んだ.とりあえず,うまかった.

でもね,ラベルを見たら例の牛乳だったのね.お腹,だいじょうぶだろうか.例の牛乳?そう雪印のラベルが貼ってありました.

<使命は済んだと思いきや>

サー,これで帰れると思いきや,田中さん.

田中先生:「せめて,救急車が到着するまでは,待ちましょうよ」

私:「いいですよ」

しばらくして,救急車が売店に到着した.ところが、なかなか救急車が救助に行こうとしない。

私:「早く救助に行かないんですか?」

救急隊員:「今から、行きますよ」

これで、一安心.我々も,一安心して,駐車場へ.さてこれで帰れると思いきや,田中さん.

田中先生:「せめて,救急車が山道へ入っていくのを見とどけてから...」

私:「いいですよ」

でも,なかなか,救急車がやってこない.

<意外な展開>

とすると,どこかからバリバリバリってな音がしてきた.見上げると,なんとヘリコプターがやってくるではないか.我々の頭上を越えて,あの年配男性がいそうな方向へ飛んでいく.しかも,ホバリングまでしている.おーっ,救助ヘリまでもやってきたのだ.いやー,大規模な救助劇になってしまった.

こんな予定じゃなかたのに.あの負傷男性もさぞかしビックリしてるんじゃないの?なんて二人で話しながら,しばらく様子見.そしたら,やっと救急車が山道へ入っていった.「さあ帰ろう」と思ったら,また田中さん.

<見とどける>

田中先生:「救急車が降りて来るまで,待ちましょう.ちゃんと最後まで,見とどけましょう」

私:「ブツブツ...」

私の車じゃないから,仕方ない.救急車が降りて来るまで待ちました.救急車はいったん売店の方へ向かっていった.なかなか,下山の気配を見せない.そしたら,田中さん.

田中先生:「救急車が下山するまで待ちましょう」

私:「え?」

田中先生:「私たちが先に行って,救急車の邪魔になると悪いので...」

<結末>

さてさて,やっとこさ帰路につくことができた.バリバリバリ.えっ?ヘリコプター?なんで?ヘリコプターが着陸してました.しばらくして,ヘリコプターが飛び立つ音が確認できました.

田中先生:「負傷者を救急車からヘリに載せかえ,病院へ搬送だね」

私:「それって,我々が救急車より前に下山したってことじゃん」

田中先生:「そういうことになりますかね〜.でも,いい土産話ができたじゃないですか...」

それにしても,あのヘリコプターの代金はだれが負担するのだろう.あの年配の負傷者か?いやいや,どうも違うみたいだ.救急は無料だもん。こういう機会を利用して,ヘリによる救助訓練をやったらしい.ヘリの操縦,相当に怪しかったもの...

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