(4)A methodology for quality goal-seeking and coordination, and the practical application

        O. Furukawa, H. Ikeshoji and A. Ohmori

        Systems Research, Vol. 1, No. 1, 71-85, 1984(全12頁)

 

ほとんどの製造業において,品質目標は企画,設計,製造等の段階を通じて逐次的に追求される.これはそれほど不自然なことではないが,品質と技術に関して重要な問題を潜在的に蓄積していき,それらの問題を発見・解決していく際に多くの試行錯誤をしばしば引き起こし,効率的・効果的な品質目標追求を妨げる傾向にある.この傾向は主として,そうした問題,および問題とその本質的要因との間の関係についての事前検討が不十分であること,関連部門間のコンフリクトとその調整が早い時期にほとんど考慮されていないことに起因する.品質目標追求がより効率的・効果的であるためには,そのような望ましくない状況を解消するような「より良い」品質目標追求システムが製品開発段階で必要となる.

 

本論文は新たな品質目標追求論として,そのような品質目標追求システムの整備のための基礎理論を展開し,その基礎理論に基づいて品質目標追求システム(方法論)を構成し,主要ツールとしてリレーション・チャートを提案し,さらに適用事例によりこれらの有効性を示したものである.

 

品質目標追求システムの主要な特徴は以下の通りである.

(a)品質・技術展開により品質目標に関連する技術の体系化およびテクノモデル(工学モデル,実験モデルなどの総称)の構築を通じ,品質目標の技術的実現性を予測し,適用技術を早期に評価する.

(b)品質目標に実現性がない場合,技術的ボトルネックを摘出し,その早期解決を促す.また,リレーション・チャートの役割は,大量の品質・技術情報の集約とレビューの容易化,関連部門からの多種多様な意見の調整,組織的活動の一貫性に寄与し,品質目標追求システムの運営を円滑にすることである.

 

本論文は品質管理を主題にしているが,一方で数理的システム理論への貢献もある.まず第一に,システム属性の因果的構造を考察するための理論的枠組みを与えていることである.第二に,目標追求との関連でシステム属性をはっきりと考慮したモデル概念,モデリング論を提供していることである.

 

貢献が品質管理と数理的システム理論の双方の領域にまたがる本論文は,非常に独創的であり,(当時としては)新規性も高いものである.さらに査読者からは,興味深い論文であり,適用事例はそうした活動に関心のある読者を刺激するはずであるとの意見,また品質管理における一般的なシステム概念の適用に焦点をあてており,北米においては大いに興味ある主題であるとの意見を得ている.